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Pさんの『そんな姿』を、見たかった。

2016/07/21 15:54:02 | ◆一度別れる前のPさんとの日々 | コメント:0件

夜勤明け、一度帰宅してシャワーだけ浴びて。
真夏の大雨のなか、朦朧とした頭で、家を出ます。


お気に入りの紅茶屋さん。
20160712a.jpg
昨夜は緊急帝王切開が3件に経産婦さんの経膣分娩も重なって、夕食休みも仮眠も取れませんでした。
空腹感なんかとうに忘れて、アイスティーにもうかなりシロップを入れているのに、甘さもほとんど感じないくらい感覚が鈍ってるみたい。




緊急帝王切開が3件も重なると、スタッフの少ない夜の病棟はパニック。
パニックすぎて、ベテランのスタッフ同士は旧姓で呼び合うような場面もあったくらい。
入ってまだ数年の私は一瞬それが誰のことかわからなくて、余計にパニックになりましたとさ(笑)





最初のにオペから帰ってきた褥婦さんの容態が少し落ち着いて、3人目を無事に手術室に入れた後、明日に退院を控えた褥婦さんにナースコールで呼ばれて…。
病室に入ると、オペ直後の患者さんのお部屋と違って、お母さんの体臭と赤ちゃん特有の匂いが混ざる、穏やかな空気が流れていました。
この部屋は個室でご家族の宿泊も自由、この日もご主人が泊まっていて…。
胸が張って授乳がうまくいかない、と訴える褥婦さんの隣のソファベッドで、だらしなく眠りこけるご主人。
褥婦さんには負けるけれど、『おとうさん』としての新しい役割に早く慣れよういう頑張りと疲れが滲み出ているように見えました。

疲労と、寝不足と、不安と、宝物を得た幸福感を分かち合う夫婦の間で…
私も、それに憧れていたことがあったことを思い出しました。
…憧れ…というか…
それを、近い将来として、明確なイメージを作っていたことが、私にもありました。





自分のベッドに掲げられる、Pさんの苗字。
鉛のような自分の体、きしむ関節、混ざりあう鈍い痛みと鋭い痛み、視界がかすんで、眠くてぼんやりして、慣れない授乳で乳首が痛くて…
でも、そんなことは気にならないくらい愛しい我が子が腕の中にいて…
その向こうには、私と同じくらいグロッキーなPさんがいて…
ぐったりして、無精髭なんか生やしちゃったりして、授乳に四苦八苦する私にお構いなく居眠りをするようなPさんがいて…私はこんなに大変なのにと腹が立ったりもして…
そんな、綺麗事だけでは過ごせない時間も、Pさんと共有できることすら幸せだったりもして…

そんな具体的なイメージを描いていた自分が、確かにいた。
そういえば、姓の変更手続きやら、結婚指輪を勤務中につけることの規定やらをチーフに確認しちゃったりしたのは…あれは去年の夏だったっけ…


でも。


病室を出て、暗い廊下に立って、何もない自分の左手を確認して…
Pさんの『そんな姿』を見たくない、と今の自分が感じていることに、独りで驚く。
…驚きながら…
そういう将来を私と過ごさないとPさんが決めたからには、私はPさんの『そんな姿』を見ることはないと、自分が納得していることに気づく。
自分の気持ちが、そのことに納得できるところまで来たことに気づく。






Pさんの姓の名札と左手の指輪をつけて、この病棟の廊下を歩くことを夢見ていた、去年の夏。
Pさんの『そんな姿』を見たいと思っていた、去年の私。
…この夏の私は、そんな自分がいたことを懐かしく思いながら、明け方の病室を飛び回っていました。




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そんなことを考えながら、夏の雨の、紅茶屋さん。
Pさん、早くこないかな…
眠くなってきた…(_ _).。o○





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