訪問者の方々へ
必ずご一読ください
   パスワードについて

鞄を買っていただくことの意味

2015/11/14 19:09:30 | ◆一度別れる前のPさんとの日々 | コメント:1件

Pさんとお付き合いが始まったばかりのころ、『リセットプロジェクト』なるものをPさんが提案してくださいました。
Aさんとの13年間も、子供たちをあきらめたことがあったことも、学費のために風俗勤めをしていたことも、Aさんとの別れの顛末も、すべてPさんは知ってくれています。
そのうえで、新しくPさんとの関係を始めるにあたり、環境ごと新しくするために『リセット』をしようと言ってくれたのです。

価値観やものの考え方のメンタル面で、気になることを指摘してくれたり一緒に考えてくれることももちろんありましたが、Pさんは同時進行で身の回りのものを一つずつ置き換えていくことを提案してくれました。
実家への一時避難を終えて一人暮らしを再開するときに、家具も寝具も電化製品も食器も、すべて買い揃えてくださいました。
新しい生活が落ち着いたころ、お財布、キーケース、化粧ポーチなど…細かいものをプレゼントしていただき、Aさんに買い与えられたものはほとんど私の生活から無くなりました。

「ほとんど」…と言うのは…鞄の類が、まだ残っているからです。
正確に言うと、普段使いの鞄と、旅行用の大きめの鞄と、時計と、少しのジュエリー。

でも、ジュエリーはもうPさんにプレゼントされたものしか身に着けていないし…
日常的に見るのはナースウォッチとストップウォッチ、しかも、病棟を出てしまうと時計を見る機会もそんなにないので(笑)
Aさんから贈られた時計やジュエリーを見てナニかがドウこう…ということはありませんでした。


でも、鞄…特に普段使いの鞄は、毎日使うもので、毎日触れるものなわけで…
どうしたものかなぁ…かといって、まだ使えるものを捨ててしまうわけにもいかないし…

…と、思っていたら。
Pさんのお伴で向かった北の地で、普段使いの鞄が崩壊(笑)
実はこの鞄、以前にも2度ほど崩壊したことがあり、そのたびに大切な友人に修理してもらっていました。
(↑気軽に捨てられなくなってしまっていた要因の一つ)
でも、さすがにこれで3度目…もう、いいよね…と思い…

すべての流れを知りながらも、今までの鞄を捨てられずにいた私の気持ちを尊重してくださっていたPさんでしたが、お願いしますと伝えてからは、早かった(笑)
若いころにこの北の地に赴任していたこともあるPさん、あそこなら、それなりのモノがあるからと、土地の下見の合間にお買い物に連れて行ってくださいました。



そうして私の手元にやってきた、新しい普段使いの鞄ちゃま。
日常的に触れ、どこに行くにも一緒の鞄も、『リセット』することが出来ました。



…んで、ここからが、本日の本題(笑)



新しい鞄を買っていただき、早々に中身を詰め替えて古い鞄にバイバイした私はルンルン気分で。
夕飯にしようか、何がいい?というPさんからの問いかけに、私は能天気にお寿司をリクエスト。
席に着くなり、
「ウニと、アワビと、ブドウエビと、のどぐろと…あとは何でしたっけ、姫?」
いたずらっぽく笑ながら、私の顔をのぞき込むPさん。
鞄をPさんにリセットしていただき、私の好みを完全に把握した甘やかし方をしてもらい…Pさんのそばにいられる幸せを噛みしめて私でした。

…でも…

「でも、さすがですよね。急なお買い物でも、どこに何があるかわかっているのは、やっぱり何年かここに住んでいたから?」
なんの気なしに話を振ると…
「住んでたって言っても、もう何十年も前に、数年だけだったからね。町もずいぶん変わったよ。あのころはこんな大都市じゃなかった」
「結婚してすぐだから、もう、〇十年前?」
Pさんは、うん…と細い目をさらに細めて、遠くを見るようにして…話しはじめました。

「式を挙げて、本当にすぐ、奥さんとこっちに来たんだよ。
実家住まいだった彼女の荷物も、ほどかずにそのまま、ここに送ることになって…
どういうわけか、ここに引っ越してきた夜に、布団だけが届かなくてね。
しかも、真冬の、例年よりも雪が深い年でさ。
ストーブは届いていたから、ありったけの服やコートに包まって、ストーブをガンガンにたいて、朝まで過ごしたんだ。
何をしても、寒くて寒くて(笑)
懐かしいなぁ」



新婚の若い男女が、雪深い北国の冬の夜に、段ボールに囲まれて…
80年代の、大きなストーブの前で…
二人で…
「何をしても」寒くて…

「…それは…」
私は、無意識のうちに頭に浮かぶ情景を振り払うようにしながら、
「今でさえ、冬ごとに凍死者のニュースが出るようなこの場所で…それは、寒かったでしょう?」
意識して口角をあげて話しながら、うつむいても不自然にならないように…丁寧にお寿司をつまんでゆっくり口に入れて…
『お寿司が大きすぎて』という風を装って、こわばっていく顔を手で覆い隠して…
「まぁね。でも、それだけ寒くて雪に閉ざされてたから、引っ越した直後から、かえって仕事するしかないような状態が続いてて…おかげで、スムーズに立ち上げることができたんだけどね。」
うんうん、と、Pさんのお話にうなづくたびに…口の中の上ウニが苦くなっていくように感じました。



いくら、出張に同伴させていただいたとしても…買う土地や建てる建物の検討に携わらせていただいとしても…
高いバッグをポンと買い与えられても、お食事ごとに贅沢をさせて頂いても…
所詮、愛人は、愛人。

次期社長として、縁のない土地でのビジネス立ち上げに赴くPさんとともに…
結婚式の後に休む間もなく、新婚旅行に行く時間もなく、真冬の北国に向かった奥様は…一体どれだけの苦労を、Pさんと一緒にしてきたのだろう…
お布団のない寒い夜、昼も夜も土日もなく働きづめの日々、Pさん以外に知っている人がいない土地…
その環境で、奥様は、Pさんが今日のPさんになるために、どれだけの愛情を注いで、サポートをしてきたんだろう…

…どうして…
その立場に立っているのが
…私じゃないんだろう…



「…ああ…でも…」
顔に出しちゃいけない、明るい話題をキープしないといけない…
そう思っていたのに、動揺すればするほど、考えがまとまらなくって…
「長男さんのお誕生日がX月だから、逆算すると…。忙しかったとはいっても、おうちには帰れていたのね」
ああ、もう、なんでそんな話題にするかな、自分…(´Д`)
「うん、そうね。新しい生活に慣れるまえに、つわりが始まってたからね」
PさんはPさんで、まじめに受け答えしてくれちゃうし il||li _| ̄|○ il||li モー



寒い夜に、慣れない土地で、ストーブ一つでPさんと夜を過ごした、奥様。
その同じ土地で、鞄を買っていただき、お寿司を食べさせていただき、素敵なホテルの良いお部屋に泊まらせていただいた、私。
その違いに、どんな意味があるのか…

愛人として甘い蜜を吸いながら、奥様がPさんと過ごした厳しい日々を羨む私を、世間は…滑稽だと…傲慢だと…言うのかもしれない。
でも…
でも…
後日、その気持ちを素直にPさんに伝えてみたら、こんな言葉が返ってきました。
「ありがとう、そう言ってもらえてうれしい」
Pさんのその言葉だけが、この土地でPさんが鞄を買ってくださったことの本当の意味を示してくれていると、私は信じたい。





関連記事
スポンサーサイト



コメント

管理人のみ閲覧できます

2015/12/11(金) 23:44:05 | | #
このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する